魂のダンス

書く無用人

ボルゾイがじつと見ている

 連日の過度な食事、飲酒が祟って、サマーソニックBlurを見ている途中で急激に具合が悪くなった。調子に乗って移動中に何杯目かわからないビールを飲んでしまったからかもしれない。7月の中旬からずうっと食べまくり飲みまくりだったのだから、さすがの胃も限界を迎えたのだろう。幸い三曲分ほどスタジアムの外で休憩をしたら大分具合も良くなり、その後のライブを存分に楽しめたからよかったものの、この日以降胃の具合がよろしくない。

 昔から胃が弱かった。小学五年生のころ、ミニバスケットボールの試合で勝てるはずだった相手に負けてしまい、ショックで試合終了と同時にコート上でゲロが出た。当時はコーチにも上級生にも怒られてばかりだったから、そのストレスもあったと今は思う。諸々落ち着いたあと、父か母どちらか忘れたが、お前のゲロを◯◯先生が拭いてくれてたぞ、と言ってきた。◯◯先生は普段は寡黙だが、怒ると怖かった。今回も◯◯先生に怒られるかと思ったが、◯◯先生は何も言わなかった。私がコートに吐いたゲロを、◯◯先生が雑巾で黙々と拭いている後ろ姿を、見てもいないのに見たことがあるように感じてしまうのはなぜだろう。

 話を戻すと、サマーソニックが終わったあとも胃の調子が優れない。同僚との食事会でも調子が悪かったのでさすがに病院に行ったところ、逆流性食道炎が悪化しているとのことだった。元々その傾向はあったが、今回は極度なストレスを感じる場面も減ってきているので、それが原因ではない。間違いなく遊びすぎた結果なのだからしようがない。しばらく酒を控え、食事量を抑え、服薬することでようやく落ち着いてきたのでほっとしている。

 

 

 最近は山下澄人さんの『俺に聞くなよ』を読んだり、そこから山下さんの読んでいなかった作品を読んだりしているうちに、自分の考えが鍛えられていくので楽しい。胃酸の逆流以外ではちょっとやそっとじゃ動じないぜ。私の中で、物事を考える指針というか、軸となるものというか、とにかく土台のようなものがしっかりとしてきたように感じられる。スポーツで例えると、ようやく基礎トレーニングの動きが身についた感覚。それはいったいなんなんだと言われると、抽象的かもしれないが実際にしゃべることはできる。ただし、書くのはもう眠たくなってきてちょっと大変だから止しておきます。

 振り返ると、これまで挑戦していなかったことがたくさんある。自信がないからだとか理由を言えば何個でも挙げられるが、その全てがぼんやりとした罠にひっかかったために生まれた考えでださい。ださすぎる。とにかくやってみればいいだけだ。うまいも下手も関係ない。年齢だって歴だって関係ない。

 先日町中を歩いていると、お祭りが行われていた。ぶらぶらと眺めているうちに人混みに疲れてしまったので、すぐに家に帰って仮眠をとった。起きてすぐになぜか俳句が浮かんだ。  

 

ボルゾイがじつと見ている秋祭

蜻蛉には止まりやすき扁平足

皮付きの二十世紀が大皿に

 

 この句がいいのかどうかよくわからないが、浮かんだものは残しておきたい。最近はそんなふうに考えている。