魂のダンス

書く無用人

檸檬の刺青

  引っ越してきてから、およそ3週間が過ぎようとしている。住んでいるまちは生活面や文化面では大いに満足できる環境ながら比較的穏やかに過ごせるのだが、一歩外に出て新宿、渋谷などに諸用で移動すると、あまりの人の海に疲弊していまうのは、元来田舎で育っていたから故なのか。その渋谷で大学時代の友人と飲んでいて、酔いも回った頃にある奴が急に某英国風居酒屋に行きたいと言い出し、地下にあるその店に入ったものの、あまりの混雑具合と、上空に漂う夥しい性欲の霧に完全に参ってしまって途中退室した。ああいった場に順応して楽しめることを羨ましくないと言ったら嘘になるが、やっぱり自分にはそんなことはできないなと思って、その日の帰りに松屋のプレミアム牛飯をひとりで食べて、この瞬間こそが最も落ち着くんだということを味噌汁を啜りながら認識したのだった。ズズズ。

  ちなみに別の友人と同じ渋谷で飲んだときには、アットホームな焼鳥屋さんに連れて行ってもらった。愛嬌のあるおかみさんのお店にまつわるお話、彼女がおススメするに応じながら食べた焼鳥(絶品!)や、その具材当てQuiz大会を行ったことは非常に楽しい記憶として残っており、結局土地の名前で物事を決めつけるのではなく、何処へ行き何をするかにかかっているのだな。尊敬する人に案内してもらった高円寺も、面白そうな場所が多そうである。店の名前は失念してしまったが、ベトナム料理店のスパイシーなフォーはすごく美味しかった。

 

続きを読む