魂のダンス

音楽、本、映画などを絡めた雑記

散歩(1/16〜1/22の雑記)

 いまさらになって、小袋成彬が昨年リリースしたアルバム『Piercing』をよく聴いている。当人が発言しているように、ピアスを空けるようなノリで製作されたという本作は、すこしの背伸びとそれに伴う肉体的な痛みが共存しているような作品だ。聴きつづけているのは、曲間のシームレス構成や12曲32分という長さなどに代表されるように、全体としての風通しが心地よいから。また多くの客演アーティストがいることもひとつの理由になるだろう。加えてほどよくあたたかい今年の冬という気候的要因も影響し、会社に行く道中で流している。

 特に「New Kids」という曲がお気に入りだ。叙情的なピアノの音色からはじまり、Kenn Igbiのラップとビートが絡み合っていく。そして「待って なんか今日が空が青くね?」と歌いはじめる小袋の歌詞は、周囲の人々から自然の描写へ、さらに「今もどこかで生まれてる」誰かへと広がっていく。その後、曲間に挿入される「たまたま入ったカレー屋がめちゃめちゃ美味しかった」という些細な会話が、日々見過ごしてしまいがちな日常のかけがえのない情感をひきたたせる。

 遠い英国の地で製作された作品で歌われていることが、現在自分が暮らしている街においても尊重すべきことにつながった、それにたいして素直な感動が生まれる。

 

 GEZANのニューアルバムから先行公開された「東京」という曲も、自分に思考と問いかけを与えてくれた。昨年観たライブでも幾度か演奏されたこの楽曲は、ひりひりとしたサウンドに日常を生きることへの切なる想いが同居していて、聴くたびに身体の内部から突き上がってくる何かがもたらされる。悲痛な現実を描く詞に呼応するように鳴る歪みと、「花を見て笑う 好きな人の顔」「君と歩く いつもの帰り道」を求める歌詞からもわかるように、すなおな心象が表現されている。この楽曲のパワーが、もっと広く広く届いていけばいいと感じている。

 

 MOMENT JOON「TENO HIRA」のミュージックビデオも公開された。抑圧されて声をあげることのできないものすべてに力を与える楽曲だ。昨年観たライブでは、この曲を聴いている皆がMOMENTに向けて、それぞれのてのひらを見せていた。その光景が今でも忘れられない。あのときその場にいたひとたちは、いまごろどこで何をしているのだろう。

 

 毎朝毎晩、行き帰りの途中や電車のなかでさまざまな人とすれ違う。自分は比較的空いている車両が何号車か察しがついているので、いつもほぼ決まった時刻の決まった電車に乗る。それでも毎日見る顔はてんでばらばらだ。その顔それぞれに固有の時間がながれている。たまたま同じ電車に乗ったというだけで、各々の時間が交錯することが不思議でしようがない。

 そんなことを考えるきっかけとなったのは、シャーウッド・アンダソンの『ワインズバーグ・オハイオ』とスチュアート・ダイベックの『シカゴ育ち』を読んでいたかもしれない。前者が1919年に出版されたオハイオ州の架空の街を舞台にした作品、後者が1990年に発表されたシカゴを舞台とした作品だ。年月は違えど、どちらの作品も街を生きる人々の生や内面をじっくりと掘り下げていく。言葉を追いながら、街とともに生きた人々の精神に触れ、彼らに愛着を抱くことができたのは何よりもうれしい。まさにクラシックといえる作品で、今後何度も読むことになりそうだ。

 

 この期間の週末は、ミツメ主宰のイベント「WWMM」(わくわくミツメまつり)に赴いた。ラインナップだけで期待の高まりはおさえきれない。

 恵比寿リキッドルームに到着して、友人とビールで乾杯。Homecomingsを観る。去年のライブ納めはHomecomingsで、今年のライブはじまりもHomecomings。なんて幸せなんだろう。地方にいたころ、あんなにもライブが観たいと切望していたのになかなかチャンスに恵まれなかった数年前の自分に「もう少し辛抱すれば、たくさん観れるよ」と伝えたい。かれらのバンドアンサンブルはライブで聴くとその力強さを実直に感じることができる。個人的にかれらの醍醐味だと感じているコーラスワークとリズム隊の安定感は、ライブだからこそより伝わるのだと思う(もちろん畳野さんのギターボーカルと福富くんのギターも最高)。

 いいっすねのきもちで、ビールをもう一杯。KATAは入れそうにないので、しばらくリキッドにいることにする。

 そして、んoonのライブを観る。これがもうとんでもないライブだった。ボーカル・Jesseさんのグルーヴィな歌声、タイトな演奏、彩りを与えるハープの音色。かれらの演奏が続けば続くほど、己の身体が熱を帯び、また周囲にも静かな熱狂が生まれているのを強く感じた。近くに居たミツメのnakayaanさんがノリにノっていたのもまた良かった。

 あまりにもんoonのライブが素晴らしかったので、次はジーマに手を出す。3種類あるなかで一番アルコールが高いもの。今日は少しだけお酒が入ったほうがいい。相変わらずKATAには入れない。

 続いてはtofubeats。実はライブを観るのははじめて。改めてtofubeatsが作る楽曲はいいものばかりだなと、横に揺れながら強く思う。ミツメ「エスパー」の8bitバージョンからの「水星」には、嬉しくて声が出る。

 SaToAも気になるところだが、もはやKATAには入れそうにないので、バーカウンターでジーマのお代わりをする。出店されていたLUKE'S LOBSTERのサンドを食す。美味かった。

 続いてはトリプルファイヤー。こちらもライブを観るのははじめてだったのだが、ボーカル吉田さんのぼやき(?)のような歌と、それを支えるムキムキの演奏が印象的で、気分は跳ねに跳ねた。新曲が多かったような気がする。もし合っていたとしたら、新作への期待が高まるライブだった。

 ダメ元でKATAに向かうと、なんと入場することができた。in the blue shirtのライブを観る。年末に作った曲を披露しますという一声からはじまったのは、ミツメ・川辺さんがゲストボーカルを務める新曲。これがin the blue shirtのエレクトロサウンドに、川辺さんの歌声が絶妙にマッチしていて、はやく正式音源を聴きたいきもちでいっぱいになる楽曲だった。余談ではあるが、このステージを見ているとき、近くにtofubeatsさんとimaiさんがいた。自分も平均よりは身長が高いため、KATAの入り口付近でデカい3人組が自然と揺れ動く壁を作っていることに気づいた。

 友人が諸用で抜ける。自分はもうお酒はいらない。

 そして主宰のミツメ。音源の洗練さを微熱で保ちつつ、ライブならでは肉体的な演奏(特にリズム隊のふたり)で素晴らしかった。「エスパー」は本当に名曲だと改めて感じる。アンコールで披露された「煙突」で、ほろ酔いの自分は白煙をあげる煙突になった。

 リキッドルームを出ると、すっかり暗くなった景色に、喫煙所から香るたばこの匂いと、ビル街に漂う肌寒い外気が入り混じっている。狭い空間から外に出るとき、都会の建物の高さを実感するのは、とりわけこの会場でライブが行われたときだ。ほくほくしたきもちで別の友人と合流し、改めて飲みに出かける。道中のサンマルクカフェのディスプレイが故障してて、チカチカ光っていた。映画とかでよくある嫌な予感の前ぶれかと思ったが、そんな因果は存在せず、その後も楽しく朝まで飲み歩いた。

 

 あとはというと、会社の先輩に「taichiくんは絶対に『男はつらいよ』シリーズが好きだから観たほうがいい」と言われたのをきっかけに、Netflixで寅さんを見ることに夢中になっている。そして最近友人の間でハマっている率が高いハロプロにも、ようやく理解が追いついたかもしれない。特にJuice=JuiceとアンジュルムをよくYoutubeの公式チャンネルを通じて鑑賞している。アンジュルム佐々木莉佳子さんと上國料萌衣さんに目をひかれる。ハロコンというものにも一度足を運んでみたいものだ。