魂のダンス

書く無用人

活動(7/1〜7/28の雑記)

  前回の更新がある程度まとまりがよかったので、今回はそこに書けなかったことをつらつらと。だいたい7月1日~28日くらいの話。

 

  Fire TV Stickを購入してから、家から出るのがどんどん億劫になる。7月の後半からはいよいよ本格的に夏がやってきて、玄関を開けるともうとんでもない暑さ。汗だくの不快感に包まれるよりは、快適な室内でまったり方がいいよねってことで、休日や仕事終わりは基本的に家家家。

  

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  そのため、ゆるゆるとNetflixAmazon Prime Video、YouTubeTVerばかりを観ていた。待望の『ストレンジャーシングス』シーズン3は、登場人物たちの成長が微笑ましくも切ない。しかし今シーズンも抜群に面白かった。特にダスティンとスティーブのタッグは前シーズンから大好きだったのだが、今回はそこにスティーブのアルバイト先の同僚・ロビンとルーカスの妹・エリカも参入。ロビンはいつも膝小僧に絆創膏をしていて、知性の裏のどんくささ(?)といった細かいキャラ設定に驚嘆。危機を脱するための団結や避けては通れない喪失など、これまでのシーズンのいい所どりな面もあってハラハラドキドキ、笑い泣きが詰まった作品だった。

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  また『このサイテーな世界の終わり』も視聴。退屈な生活から抜け出したい少女・アリッサと、自分はサイコパスだと信じてやまないジェームスふたりの逃避行。ふたりを取り巻く環境はどんどん悪い方向へ向かっていくのだが、そこで気づく誰かを思う気持ちが切ない。ラストはかなりオープンエンドだなぁと思っていたが、どうやらシーズン2が製作されているようだ。彼らの旅の行く末が気になる。

  他には、やっと『万引き家族』や『レディ・バード』などを観たり、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』を観たりした。後者は7月15日に放送された特番も凄くて、ゴミ山漁りで生活する少年が、そのなかで赤飯を食べる光景が衝撃的で言葉がでない。

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  暑い暑いといっても、家にこもってばかりではせっかくの退勤後や休日も勿体ないなと平凡なことも考え、映画館にもぼちぼち足を運ぶ。『ビューティフルボーイ』、『ホットギミック  ガールミーツボーイ』、『トイストーリー4』などを観た。

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  特に『トイストーリー4』が本当に素晴らしかった。賛否両論らしいが、個人的には賛の立場。誰かのおもちゃであることの責任を強く背負うウッディだからこその葛藤に心揺さぶられる。居場所は誰だってひとつだけとは限らないし、ある場所にとどまることも選択で、変わっていくこともまた選択だ。でも彼らのように優しく変化していければこの世界はどんなに綺麗になるのだろうか。

 

  また7月はここ最近刊行された本を読み進めていくことが多かった。

 

銀河で一番静かな革命

銀河で一番静かな革命

 

 

  GEZANのフロントマンであるマヒトゥ・ザ・ピーポー初となる小説『銀河で一番静かな革命』は、登場人物の懸命な生に打ち震えながら読み進めた。

「あのね、ましろはわかってないな。今この時がかけがえのない特別なことなんだよ。」(P.125)

  引用は、シングルマザーのましろの一人娘、いろはの言葉だ。特に彼女の言葉が全編に渡って光り輝いている。世界の終わりを宣告された人々の、何でもない日々のこと。彼らに寄り沿い、日常に手を差し伸べるような筆致がものすごくよかった。

 

愛が嫌い

愛が嫌い

 

 

  そして町屋良平『愛が嫌い』に収録されている3篇はいずれも素敵で、町屋さんの作品を現在進行形で追い続けていることができていることがうれしい。

  きっとこの世界は、おれがおもっているよりもっと辛い。もっと厳しい。関わることのない他人の辛さを肌で味わって、それでも自分の生活を設けていくのはとてもたいへん。家々の隙間から空をふりかえってみる。もっといろいろなことをしりたい。

  いろんなひとが、どんなことを辛くおもってるのか、ちゃんとしりたい。

(「しずけさ」P.87)

心と身体。そのあわいに生まれるぐらっとした揺らぎや不安定、暗闇を、丁寧に描き出す言葉の連なりが、じりじりとこちらに迫ってくる。何度も何度も読み返しては、ハッとする言葉が多くて、本当に今作品集に出会えて涙。

 

図書室

図書室

 

 

  岸政彦『図書室』もとてもよかった。

  テーブルの奥の、いかめしい大人むけの単行本や辞典が並んでいる大きな灰色の本棚の向こうが、子ども用のスペースになっていて、私は本当にここが好きだった。(中略)学校といういろいろと楽しいこともあるけれど、でもやっぱり行かずにすむなら行きたくない場所と、心から愛してる母親と猫たちがいて暖かいこたつもある自分の家とのあいだにあって、ちょっと大人になったみたいになれる場所。(P.13)

  ふと思い出す10歳のころの記憶。母と猫と暮らした家、学校、男の子と出会った図書室。記憶は思い出すことで「いま」に現出し、「いま」しか付けることのない色を付けていく。そこにあった、そこにいた。それだけで何と尊いことか。収録されているエッセイも「図書室」に通じる記憶の在りようが素晴らしい。

 

 


SEVENTEEN AGAiN / 悲しい顔しないでよ


Blood Orange - Benzo (Official Video)


VIDEOTAPEMUSIC / Summer We Know(feat.mmm)【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

  そんなこんなで音楽の新作を以前よりは追いかけていないような気がする。通勤ではラジオを聴くことも増えてきたのもある。それでもSEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』には前に進む勇気を貰ったし、暑すぎる夏にはBlood Orange『Angel’s Pulse』とVIDEOTAPEMUSIC『The Secret Life Of VIDEOTAPEMUSIC』が滅茶苦茶ピッタリだったりする。

  あとは友人たちとべろべろの状態で何となく入ったブックオフで、色々とディグることが楽しかった。自分はスピッツSMAPのアルバムを購入したが、それぞれが自分にあったセレクトをしていた。ある友人は松浦亜弥のライブDVDを購入し、その後みんなで観賞会をしたのだが、あやや凄すぎる(なお自分は途中で限界がきて寝落ち)。最近は自分の周りでSMAPハロプロが熱くて、楽しい。もっと知りたい。

 

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  月末はちひろ美術館でショーン・タン展を観に行き、原画のダイナミズムに圧倒された。また五反田団『偉大なる生活の冒険』も観覧しに行った。アパートの小さい部屋で、元カノの家に居候するダメ~な男を取り巻く会話が面白い。ワードチョイスが絶妙過ぎて何度も笑ってしまった。が、亡くなった妹との交流が突如挿入されたり、最後は見えたのか見えてないのか定かではない希望を見出す場面もあり、笑いだけでは済まない、そんな演劇だった。

 

  あっという間に7月が終わってしまった。日々のスピードは誰もが等しいはずなのに、かつての自分も同じように過ごしていたはずなのに、特にこの月は早かった。私情でもの凄く気分が滅入ることもあったからかもしれないが、それにしても早い。年もひとつとった。きっと10歳くらいの自分は想像していなかった環境で暮らしている。せっかくなので、もっと色々なものを見聞きしたい。言葉にしたい。何だか書きたいことも増えてきたので、1~2週間にひとつは更新したいが果たして……あと別でやりたいこともあるし、そちらもぼちぼち進めていければと思う。(了)